角打ちとは


■辞書にはどう書かれているか

 「日本国語大辞典」には、「酒を升にはいったまま飲むこと」。方言として、「升で酒を飲むこと(福岡県)、酒屋の店頭で酒を飲むこと(佐賀県)、金銭を出し集めて宴をすること(大分県)」と書いてある。
 「広辞苑七版」には、「酒を枡(ます)で飲むこと。また、酒屋で買った酒をその店内で飲むこと」とある。
 また、読み方は、カクウチである。「かどうち」と言うのは「角打ち」と漢字で書いたものの読み間違いである。


■「角打ち」はどこの言葉か

 九州北部の方言であったことは、「日本方言大辞典」の以下の記述の通りである。
かくうち〔角打〕
(1)升に入ったままの酒を飲むこと。福岡県・熊本県下益城郡
(2)酒屋で立ち飲みすること。佐賀県・熊本県
《かくち》熊本県玉名郡
《かくうち酒》福岡市・佐賀県
(3)金銭を出し合って宴会をすること。大分県大分郡・北海部郡
《かくち》大分県玖珠郡


■「角打ち」に作法や流儀はあるのか?

 実も蓋もない言い方になるが、そんなものあるはずがない、いや、あってたまるかとも思う。
 もともと、「角打ち」に限らず、居酒屋の暖簾をくぐるなどということは、ちゃんとした大人のすることではなく、そういうことをする人は蔑まれていたことが江戸時代の風俗画や俳諧を見るとよく分かる。頬かぶりをして顔を隠してこそっと店に入っていたりする。
 角打ちにもっともらしい作法や流儀を振りかざす向きもあるが、根拠のないこじつけの域を超えてないように思える。
 ルールがあるとしたらそれぞれの酒屋で店主や常連客が暗黙の裡に持っている「お互いに困ることはしないでおこう」的なものであろう。酔っ払いをどう扱うか、どこまで許すかもその店の店主や常連客がその都度決めればいいことである。たまにしか行かない客が作法や流儀などをあげつらってもどうかなと思うのである。角打ちは社会の底辺層にいる人や大衆の酒の飲み方であることは肝に銘じておきたい。


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